個人開業と法人設立の比較

独立して起業を考える際、個人事業として開始するか、法人を設立するか悩まれる方もいると思います。

費用・時間・税制面で比較検討する場合は以下の結論になると思います。
個人事業:開業のお金と手間はかからないが、税制面では法人よりも不利
法人設立:設立のお金と手間はかかるが、税制面では個人よりも有利

個人事業と法人設立におけるそれぞれの費用や時間、税制面の違いについてこのページで比較しておりますので、どちらにするか悩まれている方はご参考にしていただけたらと思います。

 個人事業のメリット

個人事業として起業する場合は、特に開業費用はかかりません。開業費用がかからない分、開業時の資金を設備投資資金や営業活動資金として使うことができます。

開業手続は税務署へ開業届出書を提出するだけで済みますので、手間がかからず数時間で完了します。税制面で有利となる青色申告制度を選択する場合は、開業届出書に加えて青色申告承認申請書を税務署へ提出することとなります。

開業後2年間は免税事業者として消費税の申告・納税が免除されます。こちらは法人設立時も同様に原則は免除されますので起業時のメリットは同じです。ただし個人事業から法人成りする場合に、法人成りした後も2年間は原則免税事業者として消費税の申告・納税が免除される仕組みとなっています。いずれ法人設立を考えていて、個人事業から法人成りすることを選択する場合には、最長で4年間連続で消費税の申告・納税が免除されます。

 個人事業のデメリット

消費税の税制面で有利な一方、個人事業の利益に対しては累進課税が適用されます。稼いだ所得が増えるほど所得税率が高くなり、納税負担が増えることになります。最高で45%の税負担が生じます。

また青色申告を選択した場合の欠損金の繰り越し期限は3年間と、法人の繰り越し期限10年と比べて短くなっています。

 法人設立のメリット

事業経営上個人として取引する場合と比べ、法人として取引することで社会的信用力が高まります。取引先との取引が円滑化されたり、従業員採用時にも有利となるでしょう。

個人開業と同様に法人設立後2年間は原則として免税事業者となり、消費税の申告・納税が免除されます。

赤字の場合の欠損金を10年間繰り越すことができたり、税制面では多くのメリットを受けることができます。

 法人設立のデメリット

法人を設立する場合には個人事業とは違い登録免許税や定款認証の費用がかかります。株式会社は約20~24万円、合同会社は約6~10万円かかります。設立には多くの書類を用意することも必要ですし、設立登記に時間も要しますので、設立には手間と時間(約1~2週間)がかかります。それらの準備を司法書士等の専門家にお願いする場合にはこれらの金額に別途専門家への報酬もかかります。

個人事業の場合、赤字の年は所得税の納税はありません。法人の場合は設立後数年間赤字であったとしても税金が7万円以上かかる点もデメリットとして挙げられます。

 

事業を開始する場合に個人事業と法人設立ではそれぞれ良い点があります。個人事業と法人設立で悩まれた場合は、費用・時間・税制面から比較検討されてはいかがでしょうか。

当事務所では個人開業・法人設立時の税務署への届出書の作成・申告や税務顧問業務を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。